Ⅸ ショップパッケージの社会的責任



1.コンプライアンスの問題

 パッケージには消費者保護の観点から様々な規格や基準が設けられています。それが条例や法律であれば社会的な責任も大きくなります。食品のメーカーであれば食品衛生法という法律がありますし、商品を生産するメーカーであればすべて製造物責任法(PL法)の適用を受けることになります。パッケージの印刷においてはJAS法による表示規定を遵守する必要があります。また過大包装については、地方自治体などが条例で基準を設定しております。インターネットで情報をとることができますので、一読することをお勧めします。
 過大包装とは、上げ底、額縁などで実物以上に商品を大きく見せたり、複数の商品の詰め合わせにおいて、過剰な空間のある包装形態の事を言います。例えば、東京都の条例によりますと、商品と商品が接する間隔は10mm以下、商品とパッケージの側面の間隔は5mm以下とする基準を設けております。また、複数の商品を詰め合わせる時に生じる空間については、その比率をパッケージの全体容積の20%(やむを得ない時は25%)とするという基準があります。空間率の算出については公式があります。円形の容器など特殊な形状のパッケージでも、公式に従って計算できるようになっています。また、包装経費比率という問題もあります。詰め合わせする個々の商品の包装経費の総額に、詰め合わせ用の包装経費を合計したものが、販売価格の中で占める割合のことを言います。適正と考えられる基準は15%です。


2.容器包装リサイクル法

容器リサイクル法の概要

 容器、包装材のリサイクル推進と再商品化をより進めることを目的として、容器包装リサイクル法が制定されました。すでにご承知の方も多いと思われますのでポイントだけお話させていただきます。容器、包装を利用して中身(商品)を販売する事業者、これらを製造する事業者、これらの付いた商品を輸入する業者が、法律に定められた特定事業者となり、リサイクル義務を負わねばなりません。法律で指定された法人に委託料を支払うことでこの義務を果たすことになります。ただ、小規模な事業者については対象外とされています。小売業(ショップ)であれば、年商7,000万円以下で社員が5名以下のところとなります。テークアウト用パッケージはすべて、この法律でいうところの容器、包装となります。ガラス容器も対象となりますが、段ボール製の紙器は対象外です。また、リボンやセロテープ、シールなどの付属的なものも対象外です。詳しくは(財)日本容器包装リサイクル協会や経済産業省のホームページで確認して下さい。

マーク付けの義務

 すでに、改正前の法律で飲料用のスチール缶やアルミ缶とペットボトルの識別マークは義務付けられていますが、さらに紙製容器包装とプラスチック製容器包装が追加して義務付けられることになりました。指定のマークやその表示方法も決まっていますので、先のホームページ等で確認してください。パッケージがいくつかのパーツの集合体である場合には、それぞれのパーツごとに識別マークを付ける必要があります。無地の容器包装おいては、集合体のパッケージで他に識別マークを付けることが可能なものがあれば、そのものの識別マークに付け加えて表示することになります。無地の単体のパッケージであれば付ける必要はありません。例えば、内装がプラスチック製で外箱が紙製であれば、外箱の方に紙マークとプラマークを印刷することになります。



委託料の算定

 委託料は=(排出見込量)×(算定係数)×(委託単価)となります。
排出見込量=(A)-(B)-(C
      Aは前年度に販売した商品に利用した特定容器・包装の量(kg)
      BAの内、自ら又は委託して回収した量(kg)  
      CABの内、事業活動により費消された商品に用いた量(kg)

Cについて把握できない場合は簡易算定で計算します。その公式は次の通りです。

委託量=(AB)×簡易算定係数×委託単価 (重量の単位はkg)
ショップでは自らの回収は無いとします。例えば、ショップで使用した紙袋のひとつのアイテムが50gとし、年間30万枚を使用したと設定して試算します。紙袋は紙製容器包装となりますので、下記の通りの試算となります。

委託量=15,000(kg)×0.03381×12
委託量は6,085円となります。

平成24年度の紙製容器包装の簡易算定係数は 0.033812
                委託単価は12.0
 
 ここに前項でお話しました経費削減のもうひとつのポイントがあります。
例えば、この手提げ袋の寸法が320×110×440で、紙質は晒クラフトの120gであったとします。これを100gにワンランク落としたときには、1枚の重量は46gとなりますので、年間の利用総重量は13,800(kg)となり、上の公式で委託料を算出すれば5,604円となります。これで約8%の削減が可能となります。多くのアイテムを持ち、使用数量の多い百貨店、量販店ではかなりの削減になります。
 ポリ袋の算定係数、委託料はプラスチック製容器包装の素材項目で確認して下さい。


3.環境ラベル

環境ラベルには第三者の審査を経て認証されるものと、企業によって自主的に創られたものがあります。前者はエコマークなどに代表されますが、後者は各企業が自社の環境活動をアピールするものですから、一般的に知名度は限られたものになっています。容器リサイクル法に定められた認識マークは義務化されておりますが、これらのマークは自由に選択できます。環境への配慮をアピールすることは、ショップにとってイメージアップに繋がりますので、賛同できるものがあれば使ってみることをお勧めします。エコマーク以外には業界が自主的に創った段ボールマーク、再生紙使用マークなどあります。また、パッケージメーカーが自らの環境保護活動をアピールするマークもありますし、森林保全の観点から、森林の管理を推進する目的で創られた団体が認証する国際的なマークなどもあります。製紙メーカーやパッケージメーカーは基金を拠出することになりますが、ショップには特別な負担はありません。