Ⅲ - 3 フィルムパッケージ


 食品販売では商品の個包装が必要になるものがあります。工場の生産ラインで使用するパッケージですので簡単にお話します。

 使用するフィルムは商品に合わせて選択されますが、求める機能によって様々な構成が考えられます。単体としてのフィルムの特性を表にしました。

素材名 /特性

Kセロハン 塩化ビニリデンコートセロファン:ガスバリア性
PE      ポリエチレン:防湿性
KOP     塩化ビニリデンコート延伸ポリプロピレン:防湿性・ガスバリア性
ONY     延伸ナイロン:耐熱性・耐寒性
KONY    塩化ビニリデンコート延伸ナイロン:ガスバリア性
OPP     延伸ポリプロピレン 防湿性・透明性
CPP     未延伸ポリプロピレン:耐油性・防湿性・引張強度
PET     ポリエステル:耐熱性・耐寒性・高透明性
KPET    塩化ビニリデンコートポリエステル:ガスバリア性・防湿性
AL      アルミニウム:ガスバリア性・防湿性

(Kの記号はKコートを意味します。防湿性、ガスバリア性を高めるために塩化ビリニデンをコーティングしたフィルムです。)

 フィルムはそれぞれの特性を生かす形で複数の層で構成します。表面は引張強度が高くて
印刷適性の良いものを、裏面はシール性の良いものを選択します。さらに防湿性、透明性
耐熱性など求める機能に応じて何層かの構成にしていきます。

一例として
ONY/CPP・・・冷凍食品に多い構成で、表面は耐寒性や耐熱性の高い基材で、裏面は耐油性の高いシーラントとなります。
OPP/CPP・・・スナック菓子に多い構成で、表面は防湿性の高い基材で、裏面は強度もあり、透明性もあるシーラントとなります。特にCPPは安価であることで多用されています。

材料構成の表記は下記のようにします。

基材(機能層)/シーラント(接着層)

 基材は印刷加工するフィルム(表面の材料)、シーラントは熱シール時に使用される(接着材料)です。例えば、KOP/PE、OPP/CPPなどと表示します。表面の材料とシーラントの中間にアルミなどを挟んで3層にする場合は、PET/AL/LDPEと表記します。

 フィルムは基本的に別注生産ですから、発注前の段階で十分な打ち合わせをしてください。
できるだけ多くのサンプルを見せてもらい、目的に合った材料構成の提案をもらうように
して下さい。

 大手メーカーのスナック菓子など大量の需要先は別にして、ほとんどが小規模のメーカーで対応が可能です。ただ、業界は印刷、ラミネート、製袋など分業が一般的です。紙袋や紙器が主流のパッケージメーカーでも、フィルムの生産ラインを持っているところもありますので、トータルで発注することが何かと便利ではないかと思います。