Ⅴ - 2 ポリ袋 Ⅴ - 3 紙器



2.ポリ袋

素材でのコストダウン

 スーパーなどのレジ袋で多く使用されているのはHDPEという素材のポリ袋です。15μから20μ程度の厚さを使用していますが、HDPEは薄くても縦方向への引っ張り強度があり、重量のあるものをテークアウトするには最適な素材です。また、LDPEより安価な素材ですから、重量(厚み)をワンランク落とせばダブルでコストダウンが可能となります。問題はパサパサした素材感です。衣料品より食品、雑貨などに向いているように思います。このレジ袋については、さらに強度をアップした素材も開発されています。

300×500の平袋の場合で試算しますと、LDPEの80μの袋を70μにしますと、
10%近くは安くなります。原反も変えてHDPEにすれば、ここからさらに10%近くは安くなると思います。

印刷でのコストダウン

 チューブ状の原反から成形されたポリ袋(シール部分が底の方にあ形状)は片面だけの印刷だけにすればコストダウンになります。チューブ状の原反はグラビア印刷されますが、印刷は片面ずつ2回通しとなります。特にレジ袋などは片面印刷で十分です。


3.紙器

 紙器は紙袋やポリ袋とは違い、形状のバリエーションが多くあります。それだけにコストダウンの方法も多くあります。

素材でのコストダウン

 単純な方法は原紙の素材をワンランク落とすことです。そしてもうひとつは、原紙の量を減らすことです。
 先ず、素材をワンランク落とすということですが、紙質を落とすことと、重量(紙厚)を落とすことの2通りの方法があります。 例えば前者は片面カード紙からコートボールへ変えるという方法、後者は400g/㎡の重量を350g/㎡に変えるという方法です。
衣料品、洋品のショップでは使用される紙器のほとんどがパーソナルギフト用です。持ち帰りが多く、宅配で送るようなことは少ないと思います。蓋と身に分かれた形状のパッケージ(C式)が多いと思いますが、蓋の素材だけワンランク落とす方法があります。例えばブラウス1枚程度のギフト箱でしたら、身はコートボールの350g/㎡、蓋は300gという方法です。(但し、身も蓋と同じ色で印刷する場合、ロットによっては350g/㎡の原紙で蓋と身を共取りする方が安くなることもあります。)箱の強度は身の原紙で決まります。
 
 蓋と身が一体となった形状(B式)の箱で考えて見ます。菓子などの詰め合わせ箱によくある形状です。例えば饅頭15個入りの箱を想定しますと、3×5のセットで箱のどちらかの方向が長くなります。あまり原紙の重量を落とし過ぎますと、片手で持ってしまった時に箱が少しよじれてしまうような現象がおこります。原紙を落としても、このよじれを起こり難くするには、箱のサイド面を強化することです。サイド面を折り返して2重にする方法が最も簡単な方法ですが、最新のグルアーマシン(自動貼りの機械)を使えば蓋の天面も同時に貼ることができて、より強度のある形状が考えられています。C式の箱がよじれ難いのはサイド面が蓋と身を合わせて4重になっているからです。他にもサイド面から出るフラップを少し長くする方法など多くのアイデアがありますが、原紙の使用面積が増えてしまって却って高くなったという事は避けねばなりません。

 次に、原紙の使用面積を減らす方法です。最も簡単な方法はC式の箱ならB式の箱に変えることです。素材のコスト面だけでなく、トータルの貼り工程も減って工賃面でのコストダウンが可能になります。どうしてもC式の形状に拘るのでしたら、蓋の高さを低くしてしまう方法もあります。また、蓋のサイドの折り返しを無くす方法もあります。

 本体の面積を減らすこと以外にも重用なポイントがあります。それは元の原紙のサイズをできるだけ小さくすることです。1枚の原紙から本体を2個とか3個というように複数取りをする時は、本体の展開形状が大きく影響してきます。特にB式の箱では、付け合せの良い展開形状を考えることが重要なポイントとなってきます。ただ、これはかなり紙器の設計に精通していないと難しいことで、メーカーの設計力が試されるところでもあります。メーカーから見積りをもらった時に、見積り用の略図面を見せてもらうと良いでしょう。ロスの多い展開形状であれば再検討をすることも必要です。また、コストよりも形状の個性や、組み立てなどの作業性が優先される場合もありますので、トータル的なメリットで判断することも必要です。

印刷でのコストダウン

 ショップ用の紙器の印刷はオフセット印刷が主流となります。コストダウンの要領は枚葉で印刷する紙袋と同じです。ただ、濃い色目のベタ印刷の時には2度刷りが必要となります。1度刷りではインキが泳いでしいまい、印刷にムラが出てしまうことがあります。紙器で多く使用されるコートボールは、紙袋で使用されるクラフト原紙に比べてインキの吸収度が低いのが原因です。(紙袋でもコート紙を使用する場合には2度刷りが必要です。)また、オフセット印刷は平版であるためにインキの塗布量が少なく、1度刷りでは満足な濃度が出ないことにも要因があります。パステルカラーなど濃度の低い色については1度印刷でも問題はありません。さらに、紙袋用の原紙と違い、紙器用の原紙は厚いので紙の表面が割れやすく、濃い色目のベタ印刷の時にはプレスコートやビニール引きなど表面加工が必要となります。この点もコストアップの要因となります。
 印刷代はロットによって変わります。できるだけ印刷ロットを増やして印刷代を安くあげるには、蓋と身、本体とそのパーツなどを同じ配色にして、1枚の原紙でセット取りができるようにしておいた方が良いのです。

貼り工程でのコストダウン

 紙器には様々な貼り工程があります。C式にはC式用の貼り方があり、B式にはB式用の貼り方があります。勿論C式もB式も抜き工程だけものもあります。人の手で組み立てることを前提にして設計します。その分製造コストも安くなりますが、箱の形状にするには人件費というコストが発生します。忙しい売り場でお客様を待たすことになっては、コスト以上の損失が発生するかもしれません。できる限り簡単に組み立てられる形状を、あまりコストを掛けずに造ることを考えねばなりません。
先ず、貼りの箇所をできるだけ少なくすることを考えます。貼り工程での工賃は貼る箇所の数によって変わります。C式の箱の場合は蓋や身のサイド面(折り返す部分の2面)だけ貼ってしまえば、組み立てはかなり楽になります。4面のサイドを貼らなくても十分です。B式の箱の場合は形状が多彩で少し複雑になります。商品の内容や箱の大きさにもよりますが、基本的にはコーナーを2箇所貼るだけでも組み立ては楽になります。また、サック形式の箱で使用されるサイド貼り(1箇所の貼り)の応用範囲を広げて、新しい形状を作る事もできます。B式の箱よりもさらにコストダウンが可能となります。貼り工程でのコストダウンをしようとすれば、当然展開形状も変わってきますし、紙の使用面積も変わることがあります。原紙サイズがアップするような形状は避けてなくてはなりませんが、紙の使用面積も減らして、貼り工程も単純にする形状はいくつもありますので、対象とするパッケージが持つ本来の役割をよく考慮した上で、最適な形状を選択することをお勧めします。