Ⅴ - 4 トータルで考えるコストダウン


機能の多様化でコストダウンを考える

 商品を納めた箱をさらにテークアウト用の紙袋やポリ袋に入れたり、綺麗なデザインの箱の上にさらに包装紙を掛けるなど、パッケージの重ね着状態をシンプルにすることでコストダウンを考えます。ソーシャルなギフトや、商品の特性からどうしてもシンプルにできないものもありますが、自宅使いの場合や販売価格の安価なものは、シンプルであっても顧客の理解を得られることもあります。事例としては、商品を納める箱に手提げの機能を付けたものがあります。代表的なものには洋生菓子の箱があります。またドーナツやシュークリームなどは箱を使用せず、角底の紙袋に手穴を付けてものを使用することがあります。他の業種にもこのコラボレーションを応用できます。お土産ショップでこれを応用すれば包装紙も要らなくなります。

アイテム数を見直す

 ひとつの方法はアイテム数を減らすことです。例えば紙袋の場合ですと、サイズの近いものを統合してひとつアイテムにします。この時は単純に大きい方のサイズに合わすのではなく、これまで統合できていなかった原因を探ります。中に入れる商品も再度見直します。結果的に小さいサイズの方に統合できたとしたら最高です。しかし、仮に新しく中間的なサイズを作ることになったとしても、ロット数が増えることで単価は抑えられ、トータル金額の削減が可能になると思われます。
 これとは逆に、できるだけ中身の商品に合わせてパッケージを作っていった方がコストダウンになるという考えがあります。普通に考えれば合理的な発想ですが、これでは際限なくアイテムを増やしていくことになってしまいます。アイテムが増えることでひとつのアイテムごとの発注ロットが小さくなり、結果的にトータルコストが上ってしまうという事になりかねません。

アイテムに格差をつける

 使用数量の多いアイテムを見直すことは常套手段ですが、少し違う観点から見直してみます。手提げ袋がセカンドバッグとして再利用されていることに着目して下さい。持ちやすいサイズ、デザインや品質の良いものは、女性の方がセカンドバッグとして再利用されていることがあります。広告効果も期待できます。小さめのランチボックスなどが入るサイズがベストです。

(200~240)×(90~120)×(240~270)このぐらいの寸法です。
  正面幅       マチ幅       高さ

このサイズのアイテムだけを品質の高いものにしておいて、これ以上の大きなサイズでコストダウンを考えます。同じデザインにしようとしないで、思い切って色数を減らしたり、紙質や取っ手の素材をワンランク落としても構わないと思います。

 また、紙箱の場合でも同じようなことがあります。再利用されるのは整理箱などに使えそうなサイズだけで、それ以外はほとんどが廃棄されてしまいます。大きなサイズの箱は高額な商品を入れることで費用を掛けがちですが、結果的には廃棄されてしまう運命となってしまいます。

寸法のバランスを検討する

 例えば菓子類で使用する箱では平たい形状のものが多くなります。それは生菓子など上下に重ねることができない商品がある事が主な原因ですが、見栄えが良いという観点からも好まれているからです。

 ここに縦300mm・横200mm・高さ100mmの箱があります。この箱が納まる手提げの紙袋(巻取製袋)を検討しますと以下のようになります。
                  
                       (正面幅)(マチ幅)(高さ)
a)縦方向に納めることができない場合の寸法は・・・350×220×310
  (商品を平らな状態で保持せねばならない場合)              
b)縦方向に納めることができる場合の寸法は・・・・320×110×250
                
 紙袋の構造や製袋機械の都合で、マチ幅が広くなるほど高さを高くとらねばならない事がネックとなります。そのため、a)の条件での理想寸法は320×220×250ですが、最低310の高さが必要となってしまいます。結果的にa)の原紙の使用面積はb)のおよそ1.7倍となり、その分コストも高くなってしまいます。
 そこでもし箱のボリュウムを半分にできるなら、これを縦にかさねるという方法をとる考えが出てきます。つまり、箱のサイズを縦300mm・横100mm・高さ100mmの寸法にしてしまうのです。形状の工夫で箱のコストアップをできるだけ抑えることができれば、トータルでのコストダウンも可能です。ふたつに分けてしまった箱がC式の形状であれば、蓋を省いてスリーブにしてしまうなどの方法もあります。