Ⅰ- 1 ショップパッケージの考え方




顧客第一主義

 近頃ではエコという言葉が色々と便利に使われて、経費の削減という経営効率の問題とすり変えられ、安易にパッケージの質を落としている店舗も見られます。勿論、経費削減は経営の重要なテーマです。しかし、削減するところを誤って、商品や店舗のイメージを落としたり、顧客サービスに不満を抱かせることになれば、それこそ売上の削減になってしまいかねません。顧客からお金をいただくものではありませんので、できるだけ安いものにしたいという思いでしょうが、忘れてはならないものがあります。それはキャリーの機能性や、ショップの店格に見合った質感やデザインです。これらを無視して高い顧客満足度は得られないのです。

商品価値を上げる

 商品はその価値を評価された結果として顧客に買い求められます。そこには多様な価値感があります。例えば、衣料品ならデザインや機能性、食品なら味覚やフレッシュ度といったものです。そして、ショップパッケージはそのデザインの心地良さの延長線上にあり、味覚への期待感の延長線上になくてはならないのです。

ストアアイデンティティー

 コーポレートアイデンティーと同じように、ストアアイデンティティーという考え方があります。ショップの経営理念を具体的に表現するものを統合しようという考え方で、商品は言うに及ばず、店舗デザインや広告表現などビジュアルなイメージも統合しようというものです。ショップパッケージも含まれてきます。ロゴマークやカラーイメージがそれにあたります。

販売戦略

 テークアウト用として使用されるサービスバッグも、時として重要な告知手段となることがあります。例えばクリスマス商戦が近づけば、サービスバッグのデザインをクリスマスをイメージさせるデザインに変えるショップがあります。テークアウトされることで屋外での告知効果を考えて作られています。また、このようなサービスバッグの素材を他店より高級なものにしたり、デザインのグレードを上げたりして付加価値を付け、他店との差別化を図るショップもあります。販売戦略のひとつの手段としても考えられるのです。

マーケッティング戦略

 商品イメージを作る中で決して見逃せないのがパッケージです。例えば量販店ならPB商品のパッケージもそうですし、洋菓子のお店ならオリジナル商品の個性あるパッケージであったりします。マーケッティングとは消費者の「欲しいという気持ち」を作り出す作業です。パッケージを見ることで、少しでもその商品が「欲しい」という気持ちが生まれるようにしなくてはなりません。また、ショップや商品がどんな人をターゲットにしているのかも、パッケージを通してメッセージされていなくてはなりません。百貨店と専門店は違います。専門店には専門店としてのメッセージが必要です。商品としてのブランド、ショップとしてのブランドを造ることがマーケティングです。商品やショップへの共感と信頼を抱かせることでブランドは成立します。そして、その思いを伝える手段のひとつとしてパッケージの存在があります。