商品を持ち帰っていただくために使用するパッケージがテークアウト用パッケージです。すでに包装された商品や、衣料品など個包装を必要としない商品は、テークアウト用パッケージだけで対応します。
1.紙袋
紙製の袋は大きく分けて手提げ袋、角底袋、平袋の3種類に分けられます。
手提げ袋
底の形状が四角形の紙袋に取っ手の付いたものを言います。製造方法により何パターンかに分けることができます。印刷方法の違い、製袋方法(1枚の原紙を袋の形にする方法)の違い、取っての付け方の違いで分類します。
製袋方法によって印刷の方法も変わります。巻取原紙(紙の抄造の段階でカットしないでロール状に巻き取られた原紙)から製袋する方法と、カットされた枚葉原紙(ロール紙をカットした原紙)から製袋する方法です。後者はさらに機械によって製袋する方法と、人の手によって製袋する方法に区分されます。巻取原紙から製袋する時には主としてフレキソ印刷という印刷方法が選択されますが、デザインによってはオフセット輪転印刷、稀にグラビア印刷という方法も選択されます。次に取っ手を付ける方法ですが、基本的に巻取原紙は機械によって成形(製袋)の工程と同じラインで付けていくことになります。一方、枚葉原紙では機械によって付けていく加工方法もありますが、人の手によって付けていく加工方法を選択せねばならない事が多くあります。メーカー規格の取っ手ではなく、プラスチック素材のものや、オリジナルな布素材のものなど特殊な取っ手を希望される場合にはこの方法しかないからです。(紙袋の寸法が規格外であれば、製袋の工程も取っ手を付ける工程もすべて人の手による加工となります。)
角底袋
手提げ袋の原型で、単純に底の形が四角形の紙袋のことを言います。この製袋方法も2種類あります。先の手提げ袋と同様に巻取り原紙から造る方法と、枚葉の原紙から造る方法です。この角底袋の特徴は袋の上部の口のところがギザギザにカットされていることです。巻取原紙をカットする刃を波型にしているのです。紙で手を切らないように工夫されています。また、サムホールといって上部の片方の部分を親指の先程の大きさで半月状にカットされた袋があります。指で袋の口を開けやすくしているのです。ただ、いずれも枚葉の原紙では工程が複雑になるのでこの加工は省略されます。また、上部に手穴を開けて、手提げ袋のような機能を持たせた角底袋もあります。
平袋
いわゆる封筒状の紙袋です。マチを造らない製袋方法で、上部にベロを付けて折り返して封緘できる形状のものもあります。糊代部分が袋のセンターにあるものと、サイドにあるものと2種類のタイプがあります。平袋にも巻取り原紙から製袋する方法がありますが、現実にはコストの安いポリ製の袋が圧倒的に多くなっています。
紙袋の印刷
先に印刷の種類について触れておりますが、ここでもう少し詳しくお話していきます。
先ず、紙袋の場合ですが、価格を抑えようとすればフレキソ印刷を選択することになります。製袋加工のコストが安いのが巻取原紙であるからです。コストよりも高級感を求める場合は、種類も多く、加工の選択肢の多い枚葉原紙となりますので、オフセット印刷となります。それぞれの特徴は資料1を参照して下さい。
資料1
紙袋の印刷
印刷方法
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適用原紙
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原紙サイズ
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特徴
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オフセット印刷
(平判)
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枚葉原紙
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最大
900×1200
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平版。版に凹凸は無い。印刷する箇所としない箇所を水性と油性に分けて、油性部分にだけインキが塗れるようにする方法。UVインキを使う印刷もある。刷版はアルミ製で安価。
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オフセット輪転印刷
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巻取原紙
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最大
原紙幅1270
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巻取り原紙用のオフセット印刷。版胴が限定的で原紙のカット寸法が制約される。刷版代は高い。
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グラビア印刷
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巻取原紙
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最大
原紙幅1350
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凹版。版は銅メッキした鉄製のシリンダーに窪みを掘って造る。窪みにインキを入れて原紙に付着させる方法。1色ごとにシリンダーが必要で、多色になれば版代も高価になる。
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フレキソ印刷
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巻取原紙
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最大
原紙幅1590
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凸版。樹脂性の版で、窪んだところはインキが付着しない
方法。インキが付着するところだけ版を造れば良いので印刷面積で版代が変わる。版代はグラビアより安価。
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従来のオフセット印刷では版下からネガフィルムを作成し、またそれをPS版に焼き付けて刷版を造るという作業をしていましたが、最近ではパソコンで作製したデータから直接刷版を造るCPT(COMPUTER TO PLATE)という方法がメインになってきました。従来はフィルム代を版代として請求されてきましたが、CPTではこの項目はなくなります。ただ、パソコンソフトへの入力(データ処理)など別途の作業費用は必要になります。
○紙袋の素材
包装用紙として抄造されている主な原紙はクラフト紙です。白く漂白されているのが晒クラフトで、晒していないのが未晒クラフトです。この他に晒した原紙の片面を薬品で艶を出した片艶晒クラフト、半分だけ晒してクリーム色の風合いを出した半晒クラフトという原紙もあります。その他にもエスプリコートや竜王コートなどのコート紙があります。また、最近はほとんどの原紙が古紙を入れて抄造されています。晒クラフトでは30%から40%の古紙含有率のものが再生紙の主流です。非木材紙といわれるものでケナフやバガスなどの植物の繊維を入れて抄造された紙もあります。
資料2
紙袋の原紙サイズ
枚葉原紙
枚葉原紙
原紙名
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常備在庫サイズ
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120g
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100g
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80g
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70g
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60g
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50g
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900×1200
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○
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○
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○
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○
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○
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○
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|
788×1091
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○
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○
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|||||
900×1200
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○
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○
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○
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○
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○
|
○
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|
788×1091
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○
|
○
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|||||
900×1200
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○
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○
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85g
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○
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○
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○
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|
788×1091
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○
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||||||
未晒クラフト
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900×1200
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○
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○
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○
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○
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○
|
○
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(900×1200はハトロン判、788×1091は四六版と呼びます。)
代理店によっては取り扱いのないサイズもあります。
大手の製袋メーカーではこの他にも独自のサイズを持っていることがあります。
巻取原紙
この原紙を使用するメーカーは限定されるため、製紙メーカーでは別注対応が基本となります。製袋メーカーによって常備在庫する原紙を決めています。
この原紙を使用するメーカーは限定されるため、製紙メーカーでは別注対応が基本となります。製袋メーカーによって常備在庫する原紙を決めています。
ロール状の原紙ですから寸法は取り幅で決めることになります。
一例として、320(正面幅)×110(マチ幅)×400(高さ)という標準的な手提げ袋の場合ですと、その展開寸法は890×480となります。従って取り幅890の巻き取り原紙を使用することになります。120g/㎡の原紙なら通常4,000m巻きとなり、100g/㎡の原紙なら通常5,000m巻きとなります。
○紙袋の表面加工
紙袋の表面加工はほとんどが印刷の色落ち防止のためのニス引き加工となります。後ほど別の項目でお話することになっていますが、高級感を演出する方法として次の加工もあります。
ラミネート加工
艶出しや、マット調の風合いを出すためにフィルムを貼る加工です。枚葉、巻取原紙とも対応可能です。
樹脂系コート加工
巻取原紙ではポリエチレン系樹脂(LDPE)をコーティングする加工があります。この他にも各メーカーが独自に開発しているものがあります。主に巻取原紙用に開発されているもので、UV(樹脂系)コートを施すものもあります。
○紙袋の取っ手
巻取原紙で製袋される紙袋は、成形(製袋)工程と取っ手を付ける工程が同じラインとなります。成形される前の段階で、巻取原紙の裏側に貼りつけてしまいます。袋の寸法に合わせて、補強紙と共に2箇所同時に貼られます。取っ手の主流は紙製の平紐ですが、丸紐や中に紙の芯を入れた布製の紐もあります。平紐は成形される時に中に折り込まれるので嵩張らず場所を取らないのが特徴です。(枚葉原紙での自動製袋にはこの平紐はありません。)また、人の手によって付けられる紐には多くの種類があります。取っ手を製造するメーカーのサンプル帳から選ぶ事になります。
平紐は巻取原紙を10mm程度の間隔に折り込んで作られますが、20mm幅の平紐を選択できるメーカーもあります。このサイズになりますと、紐そのものにロゴやマークなどが印刷可能となります。また、20mm幅の平紐は専用の製袋ラインによって、袋の外側に付けることもできますので、手に提げた状態でも袋の上部を折りこむことが可能となります。異物混入を防止する事で、食品のテークアウトには最適な形状かと思われます。
☆紙袋のメーカー
巻取製袋・枚葉製袋など総合力のある企業はザ・パック株式会社・スーパーバッグ株式会社ですが、ザ・パック株式会社は営業拠点が多くスピード対応に優れていると思います。他にも有力な企業があります。日本角底製袋工業組合のホームページで確認して下さい。
ザ・パック株式会社 http://www.thepack.co.jp/
ザ・パック株式会社 http://www.thepack.co.jp/