今回は新しくショップをオープンさせるという想定で、先ずショップパッケージの発注手順の説明をさせていただきます。
1.紙袋の発注手順
一番先に決めることはサイズです。ファッションや雑貨では3から4種類、菓子類では5から6種類だと考えられます。先の「コストダウン」のところで触れましたが、できるだけメーカーの規格サイズに合わせるようにしてください。次に1ヶ月あたりのおよそ数量を決めます。できれば3ヶ月程度で消化できるロットで発注するのが望ましいと思います。メーカーの最低ロットで発注しても、消化するのに1年以上もかかるようなら少し問題です。よく使用される手提げ袋の標準的な最低ロットと比較単価を表にしてみました。
資料4
仕様
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ロット
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比較単価
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1)
枚葉原紙の手提げ袋
(正面幅)(マチ幅)(高さ)
320×110×330
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晒クラフト120g
印刷オフセット
単色で1色
PP紐自動製袋
(上部折り返し)
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最低ロット
1,000枚
参考ロット
2,000枚
5,000枚
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180
170
140
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2)
巻取り原紙の手提げ袋
(正面幅)(マチ)(高さ)
320×110×310
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晒クラフト120g
印刷フレキソ
単色で1色
PP紐自動製袋
(上部折り返し無し)
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最低ロット
約10,000枚
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100
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2)の条件の単価を100として比較しています。価格は諸条件によって変わりますので、参考価格として下さい。
枚葉原紙の手提げ袋
a) サイズを決める
メーカーの規格サイズを参考にします。
どうしても希望のサイズが無ければ製袋工程は手加工になります。原紙サイズとの兼ね合いもあるので、一定の計算式にすることは難しいのですが、先の事例1)の手提げ袋のサイズ(320×110×310)を(300×95×340)というサイズに変えれば10円程度アップすることもあります。
b) 原紙を決める
100gにするか120gにするかなど重量を決めます。事例の手提げ袋の場合、衣料品がメインなら100gで十分ですし、食品なら商品の重量を考慮して120gを選択します。次に、晒クラフトにするか、片艶晒クラフトにするか紙質を検討します。
c) デザインを決める
原紙によって印刷色の仕上がりも違ってきますので、使用する原紙をデザイナーに指示します。メーカーに在職するデザイナーなら問題は無いのですが、発注者自身がデザインを提供する場合には、メーカーより手提げ袋の展開図のデータをもらってください。デザイナーにはそのデータにデザインを貼り付けてもらう事になります。糊代部分はインキが載らないようにせねばなりませんので、メーカーの展開図で確認します。次にデザインの確認ですが、費用のこともあり、初回はA3用紙でのカラー出力による確認になると思います。紙袋は立体ですので、製品として仕上がったビジュアルでデザインをしてもらうと良いと思います。勿論、最初から大型のインクジェット機で出力して、現寸に近いダミーを作ってもらう事も可能です。ただ、インクジェットの色と印刷色は違いますので、デザインには必ずインキメーカーのカラーチップを付けてもらってください。パントーンのカラーガイドが良いと思いますが、大日本インキ(DIC)も一般的によく使用されています。
次は色校正です。CMYKの4色プロセス印刷であれば、DDCPというデジタル校正機による校正をお勧めします。再現性も高く、リードタイムが短いことや安価であることが最大のメリットです。校正紙は専用紙を使用しますので、本紙が着色原紙なら従来どおりのアナログ校正を選択して下さい。またデザインが単色の指定色になる時も、インクジェットでの校正よりもアナログ校正を選択する方が良いと思います。せっかく経費を掛けて色校正をしても、本番では思うように色が出ないリスクはあります。発注ロットが多いものなどは印刷立会いをお勧めします。
d) 取っ手を決める
価格も考慮しながらデザインにマッチした取っ手を選択します。紐類は手提げ袋専用の紐を製造しているメーカーのサンプル帳を参考にします。手加工では紐の長さもある程度自由に決めることができます。
e) ロットを決める
先の事例の手提げ袋(320×110×330)の経済ロットは10,000枚以上になると思いますが、初回は割高でも小ロットの発注で様子を見ることをお勧めします。また、メーカーも在庫期間を3ヶ月と設定しているところが多いので、ショップの使用量も考慮してロットを決めるようにしてください。見積もりは無料ですから、希望するロットも含めて何パターンか出してもらっておくと良いでしょう。
f) 契約
条件の確認をきっちりしておきます。先ず製品の仕様が明記されていることが肝要です。サイズ、原紙、印刷度数、ニスなど表面加工の有無、取っ手の種類、梱包荷姿(外装ケースかクラフト包装か、入り数は何枚か。)次に納期、支払い方法、運賃はサービスかどうか、一括納品か分割納品か、分割の時の最終引取り日も決めておきます。(大口の重要先にはシステム納品という方法もあります。次の項で説明します。)
巻取原紙の手提げ袋
手順的には枚葉原紙の手提げ袋と同じです。サイズは基本的にメーカーの規格寸法から選んで下さい。(指定された寸法の中でも、高さを伸ばしたり、マチ幅を小さくすることは可能です。)少し面倒なのは、フレキソ印刷やグラビア印刷では本紙による色校正の手段が無いので、指定色と印刷色の違いを確認するには印刷現場にて立会いをするしかないということです。ただ、デザイン全体は確認できなくても、使用するインキの調色サンプルは出せますので、これである程度のリスクは回避できると思います。
もうひとつ重要なことがあります。それは発注ロットのことですが、巻取り原紙はロールですから、発注単位はロールの本数ということになります。先に説明させていただいたように紙袋のサイズによってカットされていきますので、数量は紙袋のサイズ次第ということになります。また、枚葉原紙と違って定数に合わせることも難しいため、仕上がりの枚数もそのつどの出来高次第ということになってしまいます。
例えば、事例の320×110×310のサイズの袋であれば、高さ方向のカットは390となります。原紙を晒クラフトの120g/㎡で指定した場合、巻きメーター数が4,000mとなりますので、製造ロットは4,000÷0.39=10,256となります。生産ロスもありますので、仕上がり数量は9,900前後になるかと思われます。
平袋も角底袋も枚葉原紙から製袋するものと、巻取り原紙から製袋するものがありますが、取っ手の部分以外は基本的に手提げ袋の手順と同じです。