手提げ紙袋の底に板紙(ボール紙)を入れる
手提げの紙袋で一番弱いところは底の中心部です。巻取原紙による自動製袋の手提げ袋で検証します。例えばレンガブロックをひとつ紙袋に入れて何回か上下に振ってみます。先に取っ手の部分が破損しそうですが、実は一番先に破損するのは底の部分です。糊で接合された中心部分に加重が集中して破損する事になります。そこで、底板を入れて加重を分散させるというひとつの工夫が生まれた訳です。底の中心部に加重が掛かる商品、例えばお酒のビンを立てた状態で入れる場合などでは必要になるかもしれません。最初から底に板紙の入った手提げ袋を発注する方法もありますが、材料費の他に工賃も掛かりますので、板紙だけ別途に発注する方法もあります。商品によっては底板の要らない時もありますから、その方が合理的だと思います。
原紙の裏使いでマット感を出す
和のイメージを出したい時にはマット調の表面加工を施すことが多いのですが、安価にマット調のイメージを出せる方法があります。それは原紙の裏面を利用する方法です。紙袋用の原紙なら片艶クラフトの裏面、板紙でしたら裏白コートボールの裏面を利用します。原紙の表面になるところはコート層で滑らかになっていますが、裏面は抄造時に加工されずに粗いままとなっています。このパルプの粗い表面がマット感を演出することになります。印刷でインキを載せても光沢が出ないことでマット調になってしまうのです。ただ、ベタ印刷はあまり歓迎されません。オフセット印刷ではブランケットの寿命を縮めてしまうこともあるからです。原紙の風合いをうまく利用したデザインで工夫して下さい。
雨の日のポリ袋
紙袋の弱点は水に弱い事です。袋の破損も心配ですが、衣服などにインキが付着する事が無いように気を遣います。雨の日専用に手提げ用ポリ袋を常備しているショップもありますが、ほとんどのショップでは、手提げ用紙袋の上から透明のポリ袋を被せて対応しています。しかし、少し疑問に思うことがあります。それは何故上から被せているのかということです。多分、袋の上部の隙間から雨が入らないようにという思いからでしょうが、紙袋は時として濡れてしまった床やベンチなどに置かれてしまうこともあって、本当は底面にこそ保護が必要だという事を知っておいて下さい。わざわざ紙袋の上から被せられるように成形したポリ袋を製作しなくても、よくある透明の平袋を使ってすっぽり入れてしまえば良いのです。その後は取っ手の下で結んでしまいます。勿論、一番良い方法は印刷面をコーティングする事ですが、無地の紙袋でも、雨対策として底の部分までコーティングする事をお勧めします。
木型代を節約する
先に紙器の発注手順のところでお話していますが、紙器の製作において木型代は版代同様に必ず請求されます。これはオリジナルな仕様を望む上でやむを得ない経費となります。ただこの経費を節約する方法が無い訳ではありません。それはメーカーが持っている規格品の木型を使わせてもらう方法です。紙器メーカーは別注品を受けることを本業としていますが、メーカーによってはいくつかの既成品を生産しているところもあり、その木型を使用させてもらうのです。
顧客開拓のために率先して自社木型の使用をアピールしているメーカーもあります。サイズやその形状に汎用性があれば、ひとつのノウハウとしても生かすことができるからです。
百貨店の顧客を多く持つザ・パックという会社では、ギフト用パッケージの合理的な形状をシステム化した木型を保有して顧客に提供しています。また、原紙のサイズもそのシステムに合わせて調達しているので、コスト的なメリットも魅力です。他にも菓子用の木型を多く揃えたメーカーなどもありますので、上手に利用することをお勧めします。
オリジナル原紙を考える
紙袋用の原紙でも紙器用の原紙でも、ひと工夫することでオリジナル性の高い原紙を造ることができます。そのひとつの方法が異種の素材を貼り合わせる(合紙)という方法です。紙袋用の原紙においては巻取原紙がベースとなります。例えば、晒クラフトと未晒クラフトを合紙して、表と裏で原紙の風合いの違う紙袋を作ることもできますし、紙ではなく不織布を貼りあせて和の風合いを持った原紙を造ることもできます。先に表面加工のところでお話していますが、フィルムを貼ることもできる訳ですから、特殊なホログラムのフィルムを貼るのもおもしろいと思います。これら貼合された原紙はカットされて枚葉製袋にも対応できます。また、量的な問題さえクリアできれば、カラー原紙でオリジナルなカラーでの抄造も可能です。
紙器用の原紙では従来からコートボールとチップボールや片段ボールを貼り合わせる加工がありますが、ファンシーペーパーなどの洋紙を貼る事もできます。ただ、板紙は枚葉原紙がベースですから、貼る合わせる原紙にはある程度の厚さが要求されます。また、それぞれの原紙の紙目をクロスさせて貼り合わせることが必要です。巻取原紙と違い10連(1,000枚)程度から依頼できると思います。
最後に
文章を書くことはあまり得意ではありません。編集もへたくそで、分かりづらかったところも多々あったかもしれません。まだまだ伝えきれていない事もたくさんありますので、機会があればもう少し読みやすく整理して、新しい情報も入れて続編を発信したいと考えています。
パッケージメーカーやデザイナーとの交渉において、少しでもお役に立てれば幸いです。皆様のご健闘をお祈りします。