当サイトについて

ショップパッケージ研究クラブ


 お店で使用するパッケージを研究しています。     
 サービスバッグや商品を詰める箱は、消費者とショップの間の大切なコミュニケーションツールです。時には消費者の立場で、時にはショップの立場でショップパッケージとは何かを研究しています。

 当サイトでは、新しくショップを開きたいという方に、パッケージの製作ポイントをアドバイスさせていただきます。
 興味のある方はサイト内の資料を自由に活用して下さい。情報料は不要です。(無断転用はご遠慮下さい)



ショップパッケージの製作ポイント

Ⅰ.ショップパッケージとは何か
    ○ショップパッケージの考え方 ○製作上の課題と問題点
Ⅱ.テークアウト用パッケージ
    ○紙袋 ○ポリ袋
Ⅲ.商品を包むパッケージ
    ○包装紙 ○紙器  ○フィルムパッケージ
Ⅳ.ギフト用パッケージ
Ⅴ.コストダウンのノウハウ
    ○紙袋 ○ポリ袋 ○紙器 ○ショップパッケージをトータルで見直す
Ⅵ.ユニバーサルデザインと顧客第一主義
Ⅶ.発注の手順
    ○紙袋の発注手順 ○ポリ袋の発注手順 ○紙器の発注手順
Ⅷ.パッケージの管理システム
    ○専門店での管理 ○量販店、百貨店での管理
Ⅸ.ショップパッケージの社会的責任
     コンプライアンスの問題 ○容器リサイクル法 ○環境ラベル
Ⅹ.デザインの効果
    ○デザインのメッセージ ○販売促進のツール

 現在のところは個人活動としてスタートしたばかりです。ショップパッケージに関心のある様々な分野の皆さんとの交流の場を作っていきたいと考えています。ご感想やご意見があればお聞かせ下さい。




関連ブログ

ショップパッケージマガジン 

   http://shoppakagemagazinn.blogspot.jp/

Ⅰ ショップパッケージとは何か


 ショップ=お客様を前にして商品を販売するところ。即ちお店です。最近ではインターネットなどで商品を購入できるネットショップというものもありますが、ここでは前者のお店の事を前提として話を進めていきます。
 
小規模な家族経営のお店から、チェーンストア、百貨店に至るまで、お客様が来店して商品を購入すればその場で必ず必要となるパッケージがあります。主たるものではテークアウト用の袋の類(サービスバッグ)、菓子店であればケーキなどを入れる箱や容器、商品をラッピングする包装紙などです。それを総称してここではショップパッケージという言い方をさせていただきます。ネットショッピングやカタログ通販の場合には商品を保護するという機能がメインとなりますので、段ボールケースが必要となりますが、これはまた別の項目で取り上げたいと思います。

ショップパッケージとネットショップやカタログ通販での配送ケースとの大きな違いは、効率や機能面だけでなく、そこにデザインという「ビジュアルコミニュケーション」の機能が加わるかどうかです。勿論、配送ケースにも社名のロゴなど印刷は必要ですが、ショップパッケージにはデザインの機能を重要視せねばならない理由があります。そのひとつは、顧客に商品や店舗のイメージを伝えねばならないこと、もうひとつはそれによって顧客の満足感を演出せねばならないことです。ショップパッケージの店舗における役割は決して軽いものではありません。

Ⅰ- 1 ショップパッケージの考え方




顧客第一主義

 近頃ではエコという言葉が色々と便利に使われて、経費の削減という経営効率の問題とすり変えられ、安易にパッケージの質を落としている店舗も見られます。勿論、経費削減は経営の重要なテーマです。しかし、削減するところを誤って、商品や店舗のイメージを落としたり、顧客サービスに不満を抱かせることになれば、それこそ売上の削減になってしまいかねません。顧客からお金をいただくものではありませんので、できるだけ安いものにしたいという思いでしょうが、忘れてはならないものがあります。それはキャリーの機能性や、ショップの店格に見合った質感やデザインです。これらを無視して高い顧客満足度は得られないのです。

商品価値を上げる

 商品はその価値を評価された結果として顧客に買い求められます。そこには多様な価値感があります。例えば、衣料品ならデザインや機能性、食品なら味覚やフレッシュ度といったものです。そして、ショップパッケージはそのデザインの心地良さの延長線上にあり、味覚への期待感の延長線上になくてはならないのです。

ストアアイデンティティー

 コーポレートアイデンティーと同じように、ストアアイデンティティーという考え方があります。ショップの経営理念を具体的に表現するものを統合しようという考え方で、商品は言うに及ばず、店舗デザインや広告表現などビジュアルなイメージも統合しようというものです。ショップパッケージも含まれてきます。ロゴマークやカラーイメージがそれにあたります。

販売戦略

 テークアウト用として使用されるサービスバッグも、時として重要な告知手段となることがあります。例えばクリスマス商戦が近づけば、サービスバッグのデザインをクリスマスをイメージさせるデザインに変えるショップがあります。テークアウトされることで屋外での告知効果を考えて作られています。また、このようなサービスバッグの素材を他店より高級なものにしたり、デザインのグレードを上げたりして付加価値を付け、他店との差別化を図るショップもあります。販売戦略のひとつの手段としても考えられるのです。

マーケッティング戦略

 商品イメージを作る中で決して見逃せないのがパッケージです。例えば量販店ならPB商品のパッケージもそうですし、洋菓子のお店ならオリジナル商品の個性あるパッケージであったりします。マーケッティングとは消費者の「欲しいという気持ち」を作り出す作業です。パッケージを見ることで、少しでもその商品が「欲しい」という気持ちが生まれるようにしなくてはなりません。また、ショップや商品がどんな人をターゲットにしているのかも、パッケージを通してメッセージされていなくてはなりません。百貨店と専門店は違います。専門店には専門店としてのメッセージが必要です。商品としてのブランド、ショップとしてのブランドを造ることがマーケティングです。商品やショップへの共感と信頼を抱かせることでブランドは成立します。そして、その思いを伝える手段のひとつとしてパッケージの存在があります。

Ⅰ- 2 ショップパッケージ製作上の課題と問題点



 次に、ショップパッケージの製作を検討する上で、課題となる項目でのいくつかの問題点を挙げていきます。

サイズの問題

 先ず、サービスバッグの話をします。ある百貨店に一人の年配のご婦人からクレームが入りました。先ほど買い物をして商品を入れてもらった手提げの紙袋が、異常に大きくてもったいないのではないかという内容でした。クレーム処理担当の者が売り場の販売員に聞いたところ、その商品に見合った適当なサイズの袋が無かったという話でした。
百貨店でのサイズの問題は販売商品のアイテムの多さに原因があります。衣料品は比較的融通の利く商品なのでさほど問題はないのですが、食器や雑貨、進物品など形に融通の利かない商品に問題が起こり易いのです。経費上の観点からサイズを絞り過ぎてしまっていることにも原因があります。手提げ袋の材料となる原紙を抄造する製紙メーカーや、袋を造る製袋メーカーにサイズの主導権があるのも現実です。大きければ問題ないという気持ちで渡した手提げ袋でしたが、結果的にはエコ意識に欠けた百貨店と見られてしまったのです。
 もうひとつギフト箱の問題です。和洋問わず菓子類の詰め合わせには色々と苦労があります。同一商品の詰め合わせなら、あらかじめ何パターンかのセット用の箱が常備されていますが、時には形の違った数種類の商品の詰め合わせを要求されることがあります。そこで、フリーに詰め合わせができる箱が必要となり、仕切りの無いフリーに空間が使える箱が用意されます。クッキーなど焼き菓子の詰め合わせでは、お菓子が緩衝材の中で溺れてしまっているようなものを見ます。小さめの箱では値嵩感がなく、空間があり過ぎる箱では安っぽく見られてしまうのです。

デザインの問題

 デザインも重要なテーマです。特にサービスバッグではテークアウトされることで、多くの人に見られます。そこから発信されるイメージが重要です。顧客のプライドを考慮せねばならないブランドショップ、美味しさを持ち帰ってもらうことに配慮が必要なスイーツのお店、それぞれがデザインのテーマを持っています。
デザインはショップの顔だからそうそう簡単に変えられるものではないという考えがあります。人の顔も整形しない限り変わることはありませんが、季節やファッション、場所に応じて髪型や化粧を変えたりしています。自分のためでもありますが、相手への気遣いという場合もあります。真冬の寒い街の中で、ブルー系のドット柄のデザインのサービスバッグを見ることがあります。本当に寒々しい空気を垂れ流していないでしょうか。一度は食べてみたい話題のスイーツでも、パッケージが可愛すぎて、男性として何となく近寄り難いということはないでしょうか。基本的にパッケージデザインの主導権は消費者の方にあるという考えをしてください。
 もうひとつ、デザインの盗用の問題があります。パッケージメーカーにデザインも含めて製作依頼したら、そのデザインが盗用であったことが後々に発覚した事例があります。賠償請求ではメーカーに限らず、支払い能力の高いところへ矛先を向けてきますので、とんだ災難を受けかねません。コンプライアンスのしっかりしたメーカーを見極めることが大切です。

納期の問題

 納期とは発注してから実際に商品が届くまでの期間を言います。メーカーの指定する納期には、実際に製造に必要とされる工程上の日数に、さまざまな外的要因がプラスされています。それは、メーカーが持っている受注残、原材料の調達日数、印刷のデータや木型の製作といったものです。平均すれば発注後20日から30日が平均の納期だと思われます。また、サービスバッグなどは海外生産も多く、ほとんどが船便ですから税関の審査なども含めると、シーズンにもよりますが、最短でも40日ぐらいは必要になります。納期どおりに納品してもらわねばならないものは、最初にメーカーより生産の工程表を出せておくと良いと思います。納期前には工程の進捗状況を報告させることが大切です。メーカーによってはすべて外注まかせというところもあります。発注先に問題がなくても外注先が原因で納期に間に合わなかったという事例は数多くあります。納期直前にチェックを入れたら最初の印刷工程で失敗していたという事例もあります。最初の工程を外注に頼らざるを得ないメーカーは危険です。
 
発注ロットの問題

 基本的には発注数量が多くなれば製品の単価は安くなります。ただし、工程ごとに、ある一定の数量からはそんなに原価も変わらなくなってしまいます。通常それを経済ロットと呼んでいます。また小ロットが原価アップする理由は、其々の工程に入る前の準備時間にあります。製品はオリジナル仕様ですから、すべての工程を事前の作業から切り替える必要があります。準備時間も原価ですから小ロットには当然この負担が多くなります。しかし小ロットでも単価が多少とも安くなる方法もあります。この件は第2章で述べていきます。
 また、流通される規格の原紙などには最低調達量があります。基本的に包装紙などの印刷原紙は1000枚単位、紙箱に使用される原紙は100枚単位となっています。それぞれにこれらの単位を(1連)と呼んでいます。ポリ袋の材料にも最低調達量はあります。ロット別の単価もこれらをベースに定められています。
 メーカーに勧められ安くなるという理由で大量に発注することは考えものです。商品は時間の経過と共に間違いなく劣化していきます。保管状況にもよりますが、紙やポリなどの原材料は言うに及ばず、印刷インキ、糊などの形而変化も表れます。気温や湿度も影響します。1年以上経過しても残るような発注ロットは控えた方が良いと思います。適切なロットでいかに安く調達するかを考えるようにしていかねばなりません。

ギフト対応の問題

 どんなショップであってもギフト対応の包装用品は必要です。百貨店やチェーン展開をしているショップなどではほとんど常備されていると思いますが、個人経営の小規模のところでは経費のこともあってなかなか難しい問題です。顧客満足度を上げるためには必要不可欠のアイテムですから、最低限度のものは常備しておいた方が良いと思います。アイテムとしては包装紙とリボンだけでも良いと思います。包装紙は常備されているものを使って、リボンや紐で演出を試みます。赤系の色とブルー系の少し落ち着いた色のものは常備しておいて下さい。包装紙を常備していないショップは、最低2種類(ベージュ系の色と赤系の色)の既成品を用意しておくことをお勧めします。ソーシャルなギフトはベージュ系の色で何とかなりますし、クリスマスやバレンタインなどは赤系の色で何とかなるものです。さらに、もともと包装紙が赤系のショップでしたら、ゴールドのリボンを常備しておけば完璧です。またもうひとつあれば重宝するのが店名の入ったゴールドのシールです。使い方などは次からの項目で述べていきます。

Ⅱ テークアウト用パッケージ Ⅱ - 1 紙袋



 商品を持ち帰っていただくために使用するパッケージがテークアウト用パッケージです。すでに包装された商品や、衣料品など個包装を必要としない商品は、テークアウト用パッケージだけで対応します。

1.紙袋
 
紙製の袋は大きく分けて手提げ袋、角底袋、平袋の3種類に分けられます。

手提げ袋

 底の形状が四角形の紙袋に取っ手の付いたものを言います。製造方法により何パターンかに分けることができます。印刷方法の違い、製袋方法(1枚の原紙を袋の形にする方法)の違い、取っての付け方の違いで分類します。
製袋方法によって印刷の方法も変わります。巻取原紙(紙の抄造の段階でカットしないでロール状に巻き取られた原紙)から製袋する方法と、カットされた枚葉原紙(ロール紙をカットした原紙)から製袋する方法です。後者はさらに機械によって製袋する方法と、人の手によって製袋する方法に区分されます。巻取原紙から製袋する時には主としてフレキソ印刷という印刷方法が選択されますが、デザインによってはオフセット輪転印刷、稀にグラビア印刷という方法も選択されます。次に取っ手を付ける方法ですが、基本的に巻取原紙は機械によって成形(製袋)の工程と同じラインで付けていくことになります。一方、枚葉原紙では機械によって付けていく加工方法もありますが、人の手によって付けていく加工方法を選択せねばならない事が多くあります。メーカー規格の取っ手ではなく、プラスチック素材のものや、オリジナルな布素材のものなど特殊な取っ手を希望される場合にはこの方法しかないからです。(紙袋の寸法が規格外であれば、製袋の工程も取っ手を付ける工程もすべて人の手による加工となります。)

角底袋 

 手提げ袋の原型で、単純に底の形が四角形の紙袋のことを言います。この製袋方法も2種類あります。先の手提げ袋と同様に巻取り原紙から造る方法と、枚葉の原紙から造る方法です。この角底袋の特徴は袋の上部の口のところがギザギザにカットされていることです。巻取原紙をカットする刃を波型にしているのです。紙で手を切らないように工夫されています。また、サムホールといって上部の片方の部分を親指の先程の大きさで半月状にカットされた袋があります。指で袋の口を開けやすくしているのです。ただ、いずれも枚葉の原紙では工程が複雑になるのでこの加工は省略されます。また、上部に手穴を開けて、手提げ袋のような機能を持たせた角底袋もあります。

平袋
 いわゆる封筒状の紙袋です。マチを造らない製袋方法で、上部にベロを付けて折り返して封緘できる形状のものもあります。糊代部分が袋のセンターにあるものと、サイドにあるものと2種類のタイプがあります。平袋にも巻取り原紙から製袋する方法がありますが、現実にはコストの安いポリ製の袋が圧倒的に多くなっています。

紙袋の印刷

 先に印刷の種類について触れておりますが、ここでもう少し詳しくお話していきます。
先ず、紙袋の場合ですが、価格を抑えようとすればフレキソ印刷を選択することになります。製袋加工のコストが安いのが巻取原紙であるからです。コストよりも高級感を求める場合は、種類も多く、加工の選択肢の多い枚葉原紙となりますので、オフセット印刷となります。それぞれの特徴は資料1を参照して下さい。

資料1
紙袋の印刷
印刷方法
適用原紙
原紙サイズ

特徴
オフセット印刷
(平判)
枚葉原紙
最大
900×1200

平版。版に凹凸は無い。印刷する箇所としない箇所を水性と油性に分けて、油性部分にだけインキが塗れるようにする方法。UVインキを使う印刷もある。刷版はアルミ製で安価。
オフセット輪転印刷
巻取原紙
最大
原紙幅1270
巻取り原紙用のオフセット印刷。版胴が限定的で原紙のカット寸法が制約される。刷版代は高い。
グラビア印刷
巻取原紙
最大
原紙幅1350
凹版。版は銅メッキした鉄製のシリンダーに窪みを掘って造る。窪みにインキを入れて原紙に付着させる方法。1色ごとにシリンダーが必要で、多色になれば版代も高価になる。
フレキソ印刷
巻取原紙
最大
原紙幅1590
凸版。樹脂性の版で、窪んだところはインキが付着しない
方法。インキが付着するところだけ版を造れば良いので印刷面積で版代が変わる。版代はグラビアより安価。

 従来のオフセット印刷では版下からネガフィルムを作成し、またそれをPS版に焼き付けて刷版を造るという作業をしていましたが、最近ではパソコンで作製したデータから直接刷版を造るCPTCOMPUTER TO PLATE)という方法がメインになってきました。従来はフィルム代を版代として請求されてきましたが、CPTではこの項目はなくなります。ただ、パソコンソフトへの入力(データ処理)など別途の作業費用は必要になります。

○紙袋の素材

 包装用紙として抄造されている主な原紙はクラフト紙です。白く漂白されているのが晒クラフトで、晒していないのが未晒クラフトです。この他に晒した原紙の片面を薬品で艶を出した片艶晒クラフト、半分だけ晒してクリーム色の風合いを出した半晒クラフトという原紙もあります。その他にもエスプリコートや竜王コートなどのコート紙があります。また、最近はほとんどの原紙が古紙を入れて抄造されています。晒クラフトでは30%から40%の古紙含有率のものが再生紙の主流です。非木材紙といわれるものでケナフやバガスなどの植物の繊維を入れて抄造された紙もあります。

資料2
紙袋の原紙サイズ
枚葉原紙
原紙名
常備在庫サイズ
120g
100g
80g
70g
60g
50g

900×1200

788×1091





900×1200

788×1091





900×1200
85g

788×1091





未晒クラフト
900×1200
(900×1200はハトロン判、788×1091は四六版と呼びます。)
代理店によっては取り扱いのないサイズもあります。
大手の製袋メーカーではこの他にも独自のサイズを持っていることがあります。

巻取原紙

 この原紙を使用するメーカーは限定されるため、製紙メーカーでは別注対応が基本となります。製袋メーカーによって常備在庫する原紙を決めています。
ロール状の原紙ですから寸法は取り幅で決めることになります。
一例として、320(正面幅)×110(マチ幅)×400(高さ)という標準的な手提げ袋の場合ですと、その展開寸法は890×480となります。従って取り幅890の巻き取り原紙を使用することになります。120g/㎡の原紙なら通常4,000m巻きとなり、100g/㎡の原紙なら通常5,000m巻きとなります。
○紙袋の表面加工

 紙袋の表面加工はほとんどが印刷の色落ち防止のためのニス引き加工となります。後ほど別の項目でお話することになっていますが、高級感を演出する方法として次の加工もあります。

ラミネート加工
 艶出しや、マット調の風合いを出すためにフィルムを貼る加工です。枚葉、巻取原紙とも対応可能です。

樹脂系コート加工
 巻取原紙ではポリエチレン系樹脂(LDPE)をコーティングする加工があります。この他にも各メーカーが独自に開発しているものがあります。主に巻取原紙用に開発されているもので、UV(樹脂系)コートを施すものもあります。

○紙袋の取っ手

 巻取原紙で製袋される紙袋は、成形(製袋)工程と取っ手を付ける工程が同じラインとなります。成形される前の段階で、巻取原紙の裏側に貼りつけてしまいます。袋の寸法に合わせて、補強紙と共に2箇所同時に貼られます。取っ手の主流は紙製の平紐ですが、丸紐や中に紙の芯を入れた布製の紐もあります。平紐は成形される時に中に折り込まれるので嵩張らず場所を取らないのが特徴です。(枚葉原紙での自動製袋にはこの平紐はありません。)また、人の手によって付けられる紐には多くの種類があります。取っ手を製造するメーカーのサンプル帳から選ぶ事になります。

 平紐は巻取原紙を10mm程度の間隔に折り込んで作られますが、20mm幅の平紐を選択できるメーカーもあります。このサイズになりますと、紐そのものにロゴやマークなどが印刷可能となります。また、20mm幅の平紐は専用の製袋ラインによって、袋の外側に付けることもできますので、手に提げた状態でも袋の上部を折りこむことが可能となります。異物混入を防止する事で、食品のテークアウトには最適な形状かと思われます。

☆紙袋のメーカー

 巻取製袋・枚葉製袋など総合力のある企業はザ・パック株式会社・スーパーバッグ株式会社ですが、ザ・パック株式会社は営業拠点が多くスピード対応に優れていると思います。他にも有力な企業があります。日本角底製袋工業組合のホームページで確認して下さい。

ザ・パック株式会社 http://www.thepack.co.jp/




Ⅱ - 2 ポリ袋


 ポリ袋はレジンという粒状の樹脂をチューブ状に成形して造られた原反から製袋されます。平袋が基本的な形状となりますが、様々な加工をすることで紙袋のようにマチを付けたり、手提げの形状にすることも可能になります。

手提げ袋

 ポリ製の手提げ袋でも機械で取っ手を付ける方法があります。原反をチューブ状からロール状のシートに加工した後、両端に取っ手を付け中心で折込みながら製袋していく方法です。これとは別に手加工で取っ手を付ける方法があります。チューブから成形する時にマチを付けて袋に成形した後、紙袋と同様に手加工で取っ手を付けます。

平袋

 ポリのチューブをヒートシール(溶断)するだけで袋の形状になります。紙袋のよう に成形に型が要らないこともあって、基本的に寸法は自由に設定できます。また、上部に
手穴を空けることで手提げ袋の代用もできます。ファストファッションの店舗などでよく使用されています。

レジ袋

 ポリの原反にマチを付けて袋の形状にした後で、上部をU字型にカットする方法で造ります。スーパーマーケットでよく使用されているタイプです。

○ポリ袋の印刷

  ショップ用としての主流はグラビア印刷です。多色刷りで写真やイラストなど高い解像度を要求されるデザインにはフレキソ印刷が使用されることがあります。センタードラム方式と言って、8色を1度に印刷することができるフレキソ印刷機があります。通称のグラビア印刷と違い、原反が伸びることが無く色のズレが起こり難いというメリットがあります。赤ちゃんの写真などをデザインした紙おむつのフィルムパッケージでは、8色フレキソ印刷が使われています。8色のフレキソ印刷機は国内でも数台しかありません。

○ポリ袋の素材

 テークアウト用パッケージとして使用されるフィルムの素材はLDPE(低密度ポリエチレン)またはHDPE(高密度ポリエチレン)が主流です。特にLDPEは柔らかくて成形加工もしやすく、ヒートシール性も良く、印刷適正が高いのが特徴です。平袋はHDPEを使うことが多くあります。HDPEは薄くても強度がありコスト面でメリットがあります。またEVA(エチレン・ビニル・アセテート)というフィルムを使用することもあります。化繊の生地のようなソフトなタッチがあり、巾着袋には格好の素材です。

 ポリ原反はレジンに着色顔料を入れることで簡単にカラーを付けることができます。もともとは無色透明のもので、白も色素で色を付けたものです。顔料メーカーが作っている原反のカラーガイドを参考にしてください。HDPE用とLDPE用があります。

不織布袋

 材料はポリエステル、ナイロンなどの合成繊維ですが、織布工程で造られるのではなく、合成樹脂接着剤の槽に通して含浸し、乾燥、熱処理をしたもので、主に洋服などの芯地に使われています。布のように縫製できますので、手提げ袋や巾着袋に加工します。また、生地の薄いものはポリ袋のように、シート状のロール原反を溶着加工して平袋に成形します。生地はメーカーが在庫している20種類ぐらいのカラーから選ぶ事ができます。印刷は基本的にはシルクスクリーンによる印刷です。平袋は国内生産が主流ですが、手提げ袋のほとんどは中国の縫製工場で作られています。

☆ポリ袋のメーカー

 紙袋メーカーの大手企業の中にはポリ袋の生産ラインを持っているところもありますが、ポリ袋を専門にしているところは全国にたくさんあります。日本ポリオレフィン工業組合のホームページで検索してみて下さい。レジ袋は海外工場での生産が増えてきています。8色のフレキソ印刷機をもっている企業は限られます。国内で最も多く保有しているメーカーはザ・パック株式会社です。


Ⅲ 商品を包むパッケージ Ⅲ - 1 包装紙



 衣料品、雑貨などは一次包装をしないまま、裸の状態でテークアウト用パッケージに入れてしまいますが、食品類では個装という一次包装をせねばならないことがあります。惣菜類や水菓子等は容器を使用しますが、乾物、焼き菓子等はフィルムで包装されます。ここではショップパッケージをメインの課題としていますので、軟包装といわれるフィルム包装については簡単に触れることして、ショップで使用する包装紙、生菓子の紙器やその詰め合わせのためのパッケージについてお話させていただきます。

1.包装紙

 ギフトでは欠かせないものになります。大きくは個人的なプレゼントなどのパーソナルギフト用とソーシャルギフト用の2種類に分けられます。パーソナルギフトはさらにクリスマスやバレンタインなどイベントに対応したもの、誕生や結婚のお祝いに対応したものと分けられます。ソーシャルギフトは一般的には歳暮や中元の贈答といった分類となります。

○包装紙の印刷

 基本的にはオフセット印刷です。全版(四六全版とハトロン全版がある)で印刷して裁断する方法と、全版の半才サイズで印刷する方法があります。使用量が多い場合は全版で印刷する方法が経済的です。また、巻取原紙をオフセット輪転やグラビアで印刷して平版にカットする方法もあります。

○包装紙の素材

 一般的には純白ロール紙を使用します。ギフト用にはコート紙(軽量コート、Uラップ)
を使用することがあります。和菓子店では艶のないイメージが好まれますので、上質紙や晒クラフト紙を使用することもあります。純白ロールは薄くても粘りがあるので最も使い勝手のある素材です。百貨店などでは40g/㎡~50g/㎡が主流です。純白ロールなど包装紙用に造られた原紙は四六判(788×1091)というサイズですが、通常茶紙と呼ばれている未晒クラフト紙はハトロン判(900×1200)になります。

Ⅲ - 2 紙器


 段ボール以外の紙製の箱を総称して紙器と言います。印刷されたボール紙などを機械によって成形するものをトムソン箱と呼び、ボール紙の四隅をカットして奴(やっこ)型にしたものに、印刷された和紙などを包むようにして貼った箱を貼り箱と呼んでいます。
また、業界では貼合ものと言って、ボール紙と片段ボールを貼り合わせた原紙で成形される箱もあります。因みに、段ボールとは波のある紙を真ん中に挟んで3層構造になっているものですが、表の原紙を貼らずに2層にしたものを片段ボールと呼んでいます。

トムソン箱

 箱には基本的な形状があります。一番多く使われているのは身(ミ)に商品を収めて、その上から蓋(フタ)を被せるという形状です。(業界ではC式の箱と呼んでいます。)商品も収めやすく、見栄えも良いので進物用には最適な箱の形状です。身や蓋の側面を折り返して2重にすることで全体の強度も高くなります。製造工程としては印刷された原紙を型抜きした後、箱の両側面に当たる箇所を機械貼りする方法と、これに加えて箱の前後の側面も同時に機械貼りしてしまう方法があります。また、コストの面から型抜きだけをし
ておいて、後からショップの方で人の手で折ってしまうという方法もあります。

 この他に蓋と身を一体にした形状があります。(業界ではB式と呼んでいます。)蓋の一部が本体の身と繋がって、蓋を開閉することで商品の出し入れをします。菓子類のパッケージに多く利用されています。先の蓋と身に分かれる形状に比べて、コストが低く押されられることにメリットがあります。原紙の使用量が少なく済みますので材料費が抑えられることや、箱の本体が一体であることから、印刷、成形などの工賃面でのコストを抑えることができるからです。また、この一体型にはキャラメル箱の形状(サック箱)もあります。これらの一体型にも単に型抜きだけをしたものもありますが、組み立てる手間を省くため、箱のコーナーや側面を機械で貼ってしまうものが主流です。店頭販売がメインとなる生菓子などの商品では、組み立てやすさを考えた様々な形状が考えられています。紙器メーカーのアイデアが試されるところです。因みに段ボール箱の形状はA式と呼ばれています。


紙管

 いわゆる茶筒の形状で円柱形のものも紙器の仲間に入ります。特殊な機械で原紙をスパイラル状に円柱形にした後で、上から薄い紙を巻くように貼って造る方法が一般的です。この他に1枚の原紙から缶を造る要領で、機械で円筒形に成形しながら同時に貼ってしまう方法もあります。特に高さの無い形状のものはこちらの方法で造られることが多いです。

段ボール箱

 ショップで段ボール箱を使うことは少ないと思いますが、基礎的な部分だけご紹介しておきます。段ボールは紙と紙の間に波のあるもう1枚の紙を挟んだ構造です。波の高さで
名前を付けています。よく使われるのはA段(4.55.0mmB段(2.53.0mmE段(1.01.3mm)ですが、W段と言ってA段とB段を貼り合わせた5層の段ボールもあります。また、FGN段という厚さ1ミリ以下という段ボールもあります。段ボールの印刷は通常はフレキソ印刷ですが、G段は専用機でオフセット印刷もできるようになりました。ただ、このG段も現状では食品のトレーに使用される程度で限定的な素材に留まっています。
 段ボールの紙質でK/AF/C5という表示があれば次のような構成となります。
(表原紙)Kラインナー180g・(裏原紙)Cライナー180gのA段という事になります。KCは紙質の違いで、Kライナーの方がバージンパルプの使用率も高く強度な紙となります。またSPC125gという表記があれば、中芯(波の部分)の原紙素材を表しています。

○紙器の印刷

 基本はオフセット印刷です。紙袋や包装紙は薄紙を専門にするオフセット印刷機を使いますが、紙器ではボール紙になりますので厚紙専用の印刷機を使います。L版の全紙に対応できる印刷機を保有しているメーカーは多くはありません。ロットの多いものはグラビア印刷を使うこともありますが、国内での設備は限られています。
  
○紙器の素材

 紙は紙器用に抄造されたものを使用します。板紙という種類に分類されています。一般的によく使用されるのは通称コートボールと言われる板紙で、正式にはコート白ボールと呼ばれています。(市場では北越紀州製紙のものが多く使用されています。)コートボールは表面を塗工しているため、白くて平滑度が高く印刷適正の高い原紙です。また、コート層の無いノーコートボールもあります。どちらにも裏白と裏鼠があります。食品分野では古紙の含有率の問題もあって、バージンパルプの構成比率の高い原紙を使用することもあります。カード紙やアイボリ紙と言われる原紙で、表面が塗工されて平滑度や白色度もアップされていますので、印刷適正も高いのが特徴です。生菓子などのパッケージにはカード紙が多く使用されています。

 コートボールは需要も多いことからサイズが揃っています。規格サイズではあまりにも不経済な取り方になってしまう場合には、別抄きを交渉してみて下さい。コートボールでしたらタイミングが良ければ、3トン程度からの抄造依頼も可能だと思います。また、カード紙の中でも需要の多いニューDVという紙も比較的オリジナルサイズでの抄造を依頼しやすい原紙です。

片段貼合紙

 片段ボールとコートボールなどの板紙を貼り合わせたものが片段貼合紙です。3重構造になりますが、片段ボールの部分は裏原紙と波状の中芯からできています。片段ボールに使用される段ボールの厚みは通常E段と呼ばれる厚みのものです。

☆食品用紙器での注意点

 食品が直接紙に触れる場合には紙の選択に注意してください。古紙に含まれるカドニウム、鉛など金属、増白剤に使用される蛍光染料は有害物質です。製紙メーカーの安全データシート(MSDS)を取り寄せると良いと思います。通常はカード紙クラス以上の紙を使用します。

資料3
コートボールのサイズ 
常備在庫サイズ
270g
310g
350g
400g
450g
550g
600g
650×950(菊判)
950×650


800×1100(L判)
550×800(L判半才)
準常備在庫







560×650



650×800



700×850




700×950




750×1000




※(639×939のサイズを菊判と言いますが、板紙で流通している菊版は650×950となります。菊版には紙目の違う950×650というサイズがあります。)
※準常備在庫品は代理店によっては取り扱いがない場合もあります。寸法の最後の数字が流れ方向で、紙目の方向になります。

☆紙の重量と単位の表示

 紙の重量は平米あたりのグラム数で表示されます。板紙は100枚が1連という単位で
取引されますので、1連の重量を表示することが多くなります。L版で31kgの紙という表示であれば平米350gの紙ということになります。

☆紙目について

 紙はロール状に抄造されますので、流れの方向と平行に目が走ります。紙のサイズが800×1100と表示されていれば、1100が流れ方向の寸法を示しており、紙目は縦方向ということになります。紙は目に沿って折れやすくなりますので、パッケージの形状によっては紙目が重要なポイントになることもあります。規格サイズの紙は縦目の紙をメインにしております。

○紙器の表面加工

 商品を包装するパッケージは商品価値を高める脇役としての使命もありますので、パッケージ本体に高級感を求められることがあります。印刷された表面にコーティング加工をすることで光沢を出したり、印刷の艶を消してマット感を出したりすることができます。また、その上からさらにエンボス加工をすることでレザー調の風合いなどを出すこともできます。

a)艶を出す表面加工

OPニス(油性)
 一般的にいうニス引きです。インライン(印刷工程の中で同時にできること)で最も安価な加工です。色落ち防止で使われることがメインで、艶の透明度はそれほど期待できません。石油系溶剤を使用しない水性ニス(アクリコート)もあります。

UVコーティングニス
 ニス専用のコーターを使い、UVニス(紫外線で硬化するニス)をコーティングします。厚みがあり摩擦に強いのが特徴です。

ビニール加工
 アクリル系樹脂で表面をコーティングします。食品類の包装では溶剤にトルエンを使用しない水性ビニールが使われます。

プレスコート加工
 紙の表面にプレス液を塗布し、熱版で表面を平滑にすることで艶を出す加工です。ビニール加工より光沢はでますが、印刷色によっては刷り傷が目立つこともあります。

ラミネート加工(フィルム貼り)
 OPPフィルムやPETフィルムを表面に貼り合わせる加工で、バリア性も高くプレスコート加工より強度があります。工賃が高いのが難点です。

b)艶を消す表面加工

 先の艶を出す加工方法で、その材料を変えることで艶消しの加工をします。OPマットニス、マットビニール加工、マットラミネート加工などがあります。ただ、プレス加工の艶消しはありません。OPマット二スはインラインで加工されるため安価ですが、マット感はあまり期待でません。
マットビニールを選択する方が賢明です。

c)エンボス加工

 原紙の表面に様々な模様のレリーフをいれる加工です。
通常は艶出しや艶消しの加工を施した後で、エンボスローラーを通すことになります。(最初からエンボスされている原紙を使う場合もあります。)
ビニール加工の後のエンボスが一般的です。

d)箔押し

 表面加工などの後で、デザインのポイント的な処理やロゴマークを入れたりするのに使われる工程です。先にロゴマークなどデザインが彫られている金属型を造り、アルミ蒸着フィルム(箔)に熱をかけて紙に型押しする加工です。箔押しする面積で価格は変わります。
 また、パッケージの付け合わせによって型の数量も異なってきます。色は20種類以上から選べますし、それぞれ艶のあるものと艶消しのものがあります。村田金箔という会社が有名です。

e)浮き出し加工

 印刷されたデザイン部分の一定部分だけレリーフする加工です。箔押し加工と同様の工程になりますが、箔押しと違ってデザイン部分が浮き出されます。綺麗な浮き出しにするにはアイボリ紙などの高級紙が理想的です。また、型抜き工程(トムソン)の中で同時に加工する方法もあります。木型に浮き出し用の型を付けてしまう方法ですが、デザインによっては難しい部分もあるので注意が必要です。

 その他紙器メーカー独自に開発された表面加工もたくさんあります。環境負荷を考慮して溶剤を使用せず、アクリル系の樹脂を使いプレスコート並みの光沢を出す技術も開発されています。また蒸着フィルムや不織布をラミネート加工することも可能です。

○型抜き(トムソン)工程

 表面加工を終えると次は型抜きの工程になります。
この工程にはそれぞれのパッケージに応じた木型が必要になります。木型とは簡単に言えば、展開図に合わせて刃を差し込んだ木製の盤面です。パッケージの展開図の大きさや、1枚の原紙から取れるパッケージの丁数よって木型の価格も変わってきます。箱の製造は
先ず展開図面を作ることから始めます。次に1枚の原紙にこの展開図面をいくつ置けるかを考えるのです。これが木型図面になり、印刷の版のデータとなります。(どのサイズの原紙を選ぶかは製造ロットで決まってしまいます。)

○貼り工程

 型抜き工程の後は最終の貼り工程になります。特殊なパッケージでない限り機械で貼ることになります。貼り方や原紙のサイズにより使用する機械は違います。複雑な形状のパッケージになるほど貼らねばならない箇所も増えますが、その分組み立てる手間は省けます。6箇所同じラインで貼る機械があります。高い設計能力とのコンビネーションで良いパッケージは生まれます。

☆片段貼合紙器

 片段ボールとコートボールなどの板紙を張り合わせものが片段貼合紙器です。3重構造になりますが、表面の板紙の印刷及び表面加工は1枚ものと同じ工程です。その後片段ボールを貼合して型抜きします。直接食品に触れる片段ボールの原紙にはノー蛍光のライナーを使用します。

☆紙器の設計

 紙器の発注はすべて設計から始まります。図面データからキャドを使って試作品を作ります。試作品は実際に使用する原紙で作ります。ユーザーに強度、質感などを正確に伝えるためです。図面には紙の種類、重量、サイズ、打抜き工程と貼り工程のデータを入れねばなりません。工場はこれによってそれぞれの工程での機械を選択します。

☆紙器のメーカー

 紙器は紙袋と違って製造工程の数が多くなります。すべてのラインを保有している企業は限られてきます。印刷会社が発注を受けて、表面加工、トムソン(抜き工程)、グルアー(貼り工程)とそれぞれの外注先に流していくパターンが多く見られます。食品など衛生管理を重視したいパッケージは、できるだけひとつの工場に全ラインが揃ったメーカーを選択して下さい。多くの外注先を経由しますと異物混入などのトラブルが懸念されます。上場されている食品メーカーを顧客に持つようなメーカーを選択すれば間違いも少ないと思います。取引を開始する前に工場見学をさせてもらうことをお勧めします。